2ヶ月
あの日私は、冬物のコートを慌てて羽織り、
ロッカーからバッグをひったくるようにして会社の外へ出た
職場の先輩と二人、高層ビル群の合間の小さな公園で、
震える体を自分で押さえつけながら、
揺れが治まるのを待った・・・
初めの小さな揺れは、
これまでに何度も経験してきたものと変わらなかったけれど、
ほんの数秒後には、はっきりと、いつもと違うキケンを感じた
いつも疑いもしない建物の、軋み音を聞き、
揺れるはずの無い目の前の高層ビルが揺れるのが見え、
あちこちから悲鳴が聞こえ、道を歩く人がうずくまり、
来るべき時がきたのかと、身構えた・・・
その瞬間から始まった東日本大震災・・・
交通機関が止まって途方にくれていた駅の風景も、
5時間近く掛けて歩いて帰った甲州街道の、
排気ガスの臭いも覚えてる・・・
靴擦れの痛みも、膝の痛みも、
一生忘れないと思っていたけれど、
2ヶ月経ったいま、
少し忘れ始めている・・・
毎日毎日聞くたびに震えていた緊急地震速報の音も、
計画停電のスケジュール表も、
キャンドルもラジオも懐中電灯も、
今は出番が無くて、今日片付けた・・・もちろんすぐに出せるところに
こうして忘れていくんだろうか
一日も早く復興って、こういうことなんだろうか
あの日着ていたコートは、クリーニングに出して仕舞った


コメント